in 博士号への道

博士号取得のための犠牲

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ちょっとシリアスな話を。

博士学生=研究と思っている方も多いのですが、博士学生=Reading()の一言に尽きます。とりあえず寝ても覚めてもいろんなものを読んでいます。まぁ大体学術論文なのですが・・・。今日はこの前の授業で読んでいた論文に出てきた一文について。

I wonder if only a very selfish person would go after a Ph.D...I have felt angry at myself, saddened for myself and my family, disgusted with the program and myself, and questioning the worth of what I am doing.
訳:(私は一握りのわがままな人だけが博士号を取ろうとするんじゃないかと思う。私は自分にとっても怒りを感じるし、家族と私自身に悲しいと思ってきた。学部と私自身に吐き気がすることもある。本当に私がやっていることは価値があるのだろうかと考えてしまうことさえも。)


これはカウンセリング学部の博士課程の学生に対して行った定性的研究の論文。定性的研究では数量データを用いる定量的研究とはことなりデータの内容がインタビュー、観察なこともあります。この研究のデータ収集はインタビューでした。その論文の中では博士課程在籍の学生が色々な辛さ(金銭的、体力的、社会地位的、学力的などなど)を訴えているのですが、その中で紹介されていたある学生のコメントが上記です。

この論文についてクラス内でディスカッションがあったのですが、私を含めたみんなが共感できたようです。私の同期の中には子どもがいる人や大切な夫から離れて一人で引っ越してきている人もいて、辛い話がけっこう続きました。

博士課程というのは時間、労力そしてお金も使うとっても長く孤独な戦いです。博士課程とは聞こえは良いですが、私達のプログラムは最低4年から7年はかかる大仕事。その中で私達が諦めないといけないのは本当に数知れません。
友達の誕生日・・・、家族の大切な日・・・、子供の入学式・・・、出産の機会・・・、結婚の機会・・・、好きな人の誕生日・・・、昇給・・・・。友達は絶対にいなくなるし、下手したら離婚まで発展するケースもも実は博士課程学生には沢山いるんです。

そこまでして、どうして私達は博士号を目指すのか?

この問いは実はほぼ全員の学生が一度は考える大きな問いなんです。

私も毎日問いかけます。でも今回ちょっと理由が見つかったような気がしました。

それは、

私は私の家族が、私の友達が、そして私自身が払ってきた犠牲のために夢を実現しようと・・。

私はアメリカに最初は留学生として来ました。アメリカでは留学生・移民に対してとても法律が厳しいところがあるので、学生はほとんど働いてお金を稼ぐということが出来ません。金銭的にまったく余裕がなかった私はアメリカに一年間だけの学費を持ってやってきました。それは私の両親が私の夢をかなえるためにくれたお金でした。実際のところ二年目の学費のめども立ちませんでした。ですが、(私はクリスチャンなので)奇跡のような神様の計らいでなんとか二年目そしてなんと三年目まで学費を払える方法が与えられました。私が日本を出てアメリカに来るときに教会で大泣きしたのですが、それは私が背負っている犠牲という名の愛を心のどこかで感じていたからだと思います。たぶん事情がよく分からない人には私がアメリカに行くのに対しての恐怖や不安からだと思ったかもしれません。実際、不安もありましたが、それよりもその抱えきれないほどの愛のために心が苦しくなりました。

私はクラスで頭が良い子ではありませんでした。いまでも多分毎セメぎりぎりでクラスをパスしている感があります。でも私を信じて送り出してくれた私の友人、そして家族のために、そして世界でこの先出会うであろうすべての人のより良い人生を実現するために、私は犠牲を厭わず博士課程をこの先も続けたいと強く思いました。そして晴れて卒業した暁には、その卒業証書をこれまで私に愛を与えてくれた方々に送りたいと心から願います。
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アメリカセントルイスカウンセリング博士号

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7 Comments

悠  

初めまして

こんにちわ。つい最近、STL(<<住んでます)の日本語情報を探していて、Yuimaさんのページにたどり着きました。過去の書き込みも興味深く読ませていただいていたのですが、私も今アメリカの大学院で博士号(言語人類学)を目指しているので、今回のエントリーは人ごとに思えず、ついFBのLikeを押してしまいました。

紹介されていた学生さんのコメントやYuimaさんの書き込みを読んで、自分が院に入ったばかりの、英語もままならず辛くて苦しかった時の気持ちを思い出しました。今でも、老いていく親を日本に残している事や、最近国際結婚した相方さんが、全く違う畑の人でアカデミックの世界とはほど遠い所にいるので苦しさや不安、しんどさを共有できない事、卒業しても職があるかどうか、などで胸が苦しくなる事も多々あります。本当に、いろいろなものが犠牲になりますよね。しかも、もし、このままアカデミックの世界に残るなら、博士号を取った時点で終わりではなく、そこからが出発点で、この苦しみや不安から解放されるわけじゃない。

じゃあ、そこまでして得たい博士号とは?そしてそれがもたらしてくれるものは何だろう?加えて、博士号を取ってからどうするのか?と、私も日々考え悩んでいたのですが、つい最近やっと、私の場合は、研究によって解りたい、見つけ出したい、伝えたい何かがあって、だけど頭の中で考えているだけでは伝わらないから、博士論文という名の形にする必要があって、それが出来たときに、免許皆伝、みたいにしてもらえるものが博士号なんだと思い至ったんですよね。私の研究、私に影響を与えた先生達の業績、それらを伝える事が、大げさかもしれないけれど、世界を少しでも良くする事に繋がっている、と信じられるようになった事も大きいと思います。だから、研究も続けたいけれど、自分の学んだ事、見つけた事を伝えて行く事(教授職)にとても魅力を感じだしていて、でもそれには博士号がいる、研究していくなら論文をたくさん読んで、書いて、ってことからは離れられないわけで、その練習、そして今まで学生として学んできた事の集大成がこの博士論文執筆で、博士号取得って事なんだろうなぁって思える様になって、ふっと楽になりました。

みんな、様々な理由、犠牲、愛を経て、博士号を目指しているんだなぁって思うと、嫌な事があってもちょっと優しくなれる気がします。人類学自体大きく括ると、多様な人への共感と優しさを促す学問なんですが、さらにプラスαで。博士号取得時には、関わってくれたすべての人達(去ったり、良い関係が維持できなかった人も含めて)と、”神様仏様”(人智を超えた何かもっと大きなもの)への感謝の気持ち、そして博士号を目指した時の純粋な想いを忘れずに伝えたいと思います。

素敵な記事をありがとうございました。

2015/03/07 (Sat) 18:12 | EDIT | REPLY |   

Yuima  

悠様

初めまして!ご訪問+そして素晴らしいコメントありがとうございます!セントルイス在住なんて、驚いてしまいました。大学院はどちらですか?もしご迷惑でなければ、Facebookなどでお近づきになりたいと思っています。メッセージお待ちしております。

そうなんですよね。家族の理解や支えがとっても大切になるのですが、畑が違うとわかってもらえなくてそれもストレスになったりして。私の場合は幸いツレも博士課程なので、私の忙しさやイライラはわかってもらえるのですが、やはり学問に直接つながったことはなかなか理解してもらうのが難しいようです。

博士号を取るのが終わりではなく、それを取ってなにをするかを考えるのはとっても大切だと強く同感いたします。結局道具なんですよね。その道具をどう使うかを考えると私もワクワクします。

お互い大変ですが、頑張りましょう!メッセージいただけましたら嬉しいです!

2015/03/10 (Tue) 08:10 | EDIT | REPLY |   

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2015/03/11 (Wed) 16:57 | EDIT | REPLY |   

かにこ  

興味深く読ませて頂きました

私たち家族は福島の出身で四年前の大地震の直後,主人の故郷ボストンに渡米してきました。来たばかりのときはお金もなければ,仕事も見つからず情けない思いをしたのは今でもよく覚えています。主人のかねてから夢の医大進学の前に2年間のpost bacc program を修了しなければいけなかったし,去年念願の医大に進学したものの医者への道はまだまだ続きます。(まだまだ学生貧乏ですしね)
家族を養う為に何度も医学の道を諦め,違う職種に就こうか迷った主人に繰り返し言っていたのは,「あなたの夢は私たち家族の夢」ということです。その言葉は真実ですが本人にはプレッシャーでしょう。押しつぶされずにやり通そうとする主人を私が誇りに思うように,Yuimaさんの家族や友人は鼻が高いことでしょう。
応援しています!!!

2015/03/20 (Fri) 14:27 | EDIT | REPLY |   

Yuima  

かにこ様

コメントありがとうございます!!とても嬉しいです。
震災後に渡米されたんですね。とても大変な思いをされたと存じます。私は地震発生時は既にアメリカだったので、被害状況等を毎日ネットでチェックするしか出来ず、震災に遭われた方に対して申し訳ない気持ちに4年経ったいまでも感じます。でも逞しく生きてらっしゃるかにこさんとご主人の姿に勇気を与えられます。私の夫も博士課程の学生なので二人とも学生の本当に貧乏学生ですが、やりがいがあることがあるだけ恵まれているのではと毎日思いながらなんとか生き延びております。応援感謝します。私もかにこ様のご主人とかにこ様を応援していますね!
更新がとっても遅いのですが、もし宜しければリンクに追加させて頂けませんでしょうか?お返事お待ちしております。

2015/03/20 (Fri) 17:54 | EDIT | REPLY |   

かにこ  

ありがとうございます!!

リンク追加させていただきましたと思いますができたかどうか,もごもごもご。(昨日から何度か試したものの不慣れなものでちゃんと出来たか確信出来ません:( もし出来てなかったら,連絡いただけると嬉しいです:!!

2015/03/21 (Sat) 08:35 | EDIT | REPLY |   

Yuima  

かにこ様

リンク追加ご了承いただきありがとうございます!早速追加させて頂きました。どうやらかにこ様のブログにはリンク表示箇所がないかもしれません(一瞥しただけなので、もしかしたら見落としていただけかもしれませんが)。その場合はブロ友になっていただけますか?

2015/03/21 (Sat) 19:57 | EDIT | REPLY |   

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